なぜこうも惹かれるのか?絵の抱く抒情故だろうか?
私自身、昔から抒情的なものが好きだった。
戦後、上野美術館に初めて外国の名画展が開催され本物の絵画に触れた。10代のとき。(戦時下では外国の物、美術も、文学も、言葉さえ、全て封じられ、禁じられた)
会場の中程で、動けなくなってしまった一枚の絵があった。
まさに魂を吸い寄せられた、という状態だった。
それは大きな風景画でコローという名を記憶した。
絵のことはなにも知らなかった。ドガも、セザンヌも、ゴッホも、ルノアールも、画集なども目にさえ触れることがなかったのだ。
のちに、その風景画は抒情詩的な情緒性を感じさせ、印象派に影響を与えたバルビゾン派の画家。
ジャン=パティスト・カミユ・コローと知った。
私にとって同じく心の琴線に触れるなにか、モネも共通するところがあるのかもしれない。 (終)