ハナハナ エッセイブログ

  • モネの睡蓮(2)

    「睡蓮の部屋」は2室に別れ、壁面8枚、全て水と睡蓮が描かれている。

    その音なき壮大さに圧倒され、心を奪われる。巡る池の中に立ち、あるいは座し、空間に溶け込む観客たち。シンと鎮まり咳き(しわぶき)ひとつない。

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    明けやらぬ東の暗渠から西へ、黎明、陽明、夕陽、

    宵闇と、水は色を変え、おびただしい睡蓮の花を浮かべる。そこには高低や遠近はない。

     

    「水平線も、岸辺もなく、波紋によって果てしないすべての幻想」を、モネは表現したといわれる。

     

    広い室内をぐるりと取り囲んだ花々はリズムを創り、空気や空の存在を意識させ、人々は果てしない睡蓮の世界に吸い寄せられてしまう。抒情とシュール、その描き出すものは神秘の空間。無になって瞑想する時間は禅の世界と重なりはしないだろうか。 (続く)