コメント

辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)

  • 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)

    花村えい子先生のお姿をはじめて拝見したのは2010年のこと。麻布十番のgm tenギャラリーでの漫画家生活50年の記念の展示に伺った時でした。その原画の繊細で細かいタッチ、完璧な構図、美しい彩色に感動しました。少女の絵がかわいすぎる60年代の絵にも心惹かれましたが、その後のトークイベントで、花村えいこ先生が「昔の絵はどこがいいのかわからない。汚いし、出したくなかった」と、おっしゃったのが衝撃的でした。この絵で汚いというのなら、私の絵などどうなってしまうのでしょう……。もしまだ自分が20代とかだったら、アシスタントとしてやり直したい、と思いましたが、時既に遅しです。トークイベントで花村えい子先生のお相手をされていた都築響一さんに、「もう、私自分の絵を焼き捨てます!」と宣言して帰った記憶があります。トークイベントでは、漫画業界の話題にもなり、花村えい子先生は大和撫子的に、「最近は少女漫画でもセッ…クスに近い表現が」「○○先生の原作にはセッ…クスのシーンが…」と、ためらいがちに性的用語をおっしゃるのが奥ゆかしいと感じ入りました。そのお姿も時空を超えたアンチエイジングで、ピンク系に染めていらしたヘアがとてもかわいかったです。忙しいときは月産250ページも描かれていたそうですが、どのように美を保っていらっしゃるのか、きっと内面のピュアさが反映されているのだと思います。

    花村えい子先生とはその後縁あって何度かお手紙をやりとりさせていただきました。「源氏物語」そして絵本「三月十日の朝」など、日本人が後世に伝えなくてはならない作品を、ここ数年は精力的に出されている花村えい子先生。そのお仕事ぶりに触発されますが、人間の器的、カルマ的に私にはまだそのような重要なテーマは引き寄せられて来ないようです。やはり花村えい子先生は、選ばれた星の下、この世に使命を持って活躍されている方なのだと畏れ多くも拝察いたします。またお会いできる日を祈りつつ……。

コメント一覧

  • ちばてつや(漫画家)

    それはそれは繊細で可愛らしい「女の子」のままであり続ける“奇跡の人”なんです。

  • 森田拳次 (漫画家)

    陽気な陽気なだめ子さま

  • 竹宮惠子(漫画家・京都精華大学学長)

    あっという間に懐に飛び込むふわふわの白ウサギ。

  • 倉持佳代子(京都国際マンガミュージアム 研究員)

    ポップでおしゃれ!全体のバランスが絶妙なので、今なお全く古びない

  • 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)

    ためらいがちに性的用語をおっしゃるのが奥ゆかしいと感じ入りました。